弊社は、浅草北部「山谷」を起点に、生活困窮者への支援活動を展開する「NPO法人ふるさとの会」の不動産部門を分社化し、居住支援法人の指定を受け、路上生活からの脱却、社会的入院からの地域移行、刑事施設からの社会復帰支援など「住まい提供」に取り組んできました。
年間相談166件。入居につながった方は78件(生活保護受給者26件、高齢者35件、障害者8件、更生保護対象者5件、子育て世帯4件)が現状の実績となっております。
@「住所不定無職」
この言葉が当てはまる人のイメージは、罪を犯した人やホームレス状態の方などがすぐに思い浮かびます。事件報道では容疑者を表現するネガティブな印象の代名詞となっている感もあります。
@「ハウジングファースト」
住所不定無職について視点を転換して考えると、安定した住居や仕事、そして何らかのつながりやサポートがあれば犯罪被害や貧困を軽減することができるのではないでしょうか。
そのような観点から「住まいは権利である」「まず、住まいを(ハウジングファースト)」の理念、例えばホームレス状態にある人は路上からすぐさまアパートに入居することができる居住支援が求められています。
しかし現状の社会的制約によって、その属性や目的別に収容あるいはケアをする施設を経て、「住むための準備が整った上で、住まいを提供する」というシステムが採用されています。
@「居住支援法人と社会的不動産の役割」
弊社は罪を犯した人をはじめ住まい確保に困難を抱える方に対して、基本的に「断わらない」入居支援、その後の見守りやサポートを行っていきたいと考えています。
そこで忘れがちなのが家主さんの存在です。居住支援を考えるうえで重要なプレイヤーでもある家主さんの不安を解消しなければ、住宅確保要配慮者が入居可能な住まいを増やすことはできません。そのため弊社は「家主に寄り添う社会的不動産」をコンセプトに、賃貸経営に関する不安、例えば家賃滞納、ゴミ屋敷化、騒音の苦情や近隣トラブル対応などを家主さんに代わり、管理会社かつ居住支援法人として入居者に関わる社会資源の方々と連携のネットワークを作っています。
これらの実績から、56もの個人・事業法人の家主さんより物件管理を任せていただいております。(令和6年10月現在、81棟326戸)
@「空き家対策」と居住サポート住宅の供給
今後は、老朽アパートや空き家予備軍の戸建住宅などを再開発(リノベーション・リフォーム)して、アフォーダブル住宅の供給や、令和7年度に施行される「居住安定援助賃貸住宅(居住サポート住宅)」認定にもつなげていきたいと考えています。
自然災害も激甚化しており、生活基盤でもある「居住」の脆弱性が顕著となってきています。既存の建物を再利用した「住まい提供」にも挑戦していきたいと思います。